夕顔の死―新発見の源氏物語絵巻―
国立能楽堂の公開講座で学習院大学の佐野みどり教授の「夕顔の死―新発見の源氏物語絵巻―」を聞いた。
仏のコレクターがイギリスのオークションで2015年購入後、美術史家のエステル・ボエールさんを介して2016年秋佐野みどり学習院大教授(日本美術史)が調査。画風などから盛安本の夕顔と確認したと話された。コレクターと言っても国鉄勤務のブルーカラー的な人だったという。
モニターで見せてくださった縦35cm横132cmの図には横たわる夕顔や死を嘆く光源氏、駆けつける家臣、建物の内装などが精巧に描かれていた。
江戸時代初期に描かれ、全容がわからないこともあって「幻」とも呼ばれる「盛安本源氏物語絵巻」のうち、ヒロインの一人である夕顔の死を描いた不幸な場面を描いたものは源氏物語絵巻で極めて珍しいとのこと。
この新発見された「夕顔の死」に始まって源氏物語を挿絵付きで読み解き楽しむという面白さを教えていただいた。作品形式としては絵巻・絵冊子・扇・色紙・屏風・襖絵などもモニターで紹介。これがゲームにもなるというから面白い。
光源氏が病気の乳母を見舞う折隣の庭に珍しい花が咲いているのを見てその花の名前をそこの家の人に尋ねると、その家の女主人が花と共に扇子を渡し、このように詠んだ。
「心あてに それかとぞ見る 白露の 光そへたる 夕顔の花」
夕顔という花の名前を答えつつ、光源氏に和歌を送った女性が夕顔。
源氏の返歌
「寄りてこそ それかとも見め 黄昏れに ほのぼの見つる 花の夕顔」
板塀・牛車・夕顔が描かれている源氏絵(人物が登場しない絵は留守模様というらしい)を見せてこれは何の巻か?を当てるということ。答えはもちろん「夕顔の巻」
定員160名の大講堂が満員だった。
船橋天沼弁天池公園のアベリア。盛りを過ぎていた。
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