轍の会
午後二時から国立能楽堂で第四十回「轍の会」があった。最初の演目は本田光洋師がシテを務める能「通盛」
シテ:昨日過ぎ
ツレ:今日と暮れ
シテ:明日またかくこそあるべけれ
ツレ:されども老いに頼まぬは
シテ:身のゆく末の日数なり
で始まった。一の谷の戦いで戦死した平通盛と後を追って入水した愛妻小宰相の局の話。
続いて野村万作さんがシテを務めた狂言「孫婿」婿入り当日に出しゃばる嫁の祖父の話。祖父は舅を差し置いて婿を独り占め。大笑いした。
休憩20分挟んで仕舞「杜若」、最後が能「角田川」(すみだがわ)この川の名は「住田川」「墨田川」そして今一般的な「隅田川」とかいろいろ書かれていたとは先日の講演会で知った。伊勢物語の「名にし負はば、いざ言問はん都鳥わが思ふ人はありやなしやと」の短歌ををもじり「われもまた、いざ言問はん都鳥わが思ひ子は東路にありやなしやと」と人さらいにさらわれた12才の息子を探して東国までやってきた母親が知ったのは旅の疲れで角田川の川岸で一年前の同じ日に死んだわが子のことだったという悲しい話。子供が出るという演出もあるらしいが今日は埋められた墓所が舞台正面に飾られていた。
午後6時近く終了。